前回の記事はこちらから見れます。スターワード蒸留所訪問記パート2です!
スターワード蒸留所を代表するNova(ノヴァ)を含むウイスキー飲み比べ5種セット「Distillery Selection」の次にテイスティングしたのは「Single Barrel」。シングルバレル3種の飲み比べです。
現在はオーストラリア本土でも販売されていないボトルもあります。とても貴重なウイスキーたち。シングルカスク(シングルバレル)好きの私にとってはたまりません。
■SINGLE BARREL #8800 ABV 53.4%
アメリカンオークとオーストラリア産赤ワイン樽で熟成されたシングルバレル。
【テイスティングコメント】
香り:木苺のような、甘酸っぱさのあるレッドベリーのアロマ。樽香が上品に香る。
味わい:レッドベリー、カスタードクリームに和三盆。凝縮感のある赤い果実の、綺麗な酸ののった上品な甘みが主体。絶妙なオーキー加減。アフターにはかすかなハーブ。
総評:とてつもなく美味しい!!! 香りは上品で穏やかだったが、口に含んだ瞬間、レッドベリーのアロマが爆発。純粋で、複雑さもある至高のウイスキー。
■SINGLE BARREL #4289 ABV 55.7%
フレンチオーク樽で熟成されたシングルバレル。熟成年数はおよそ3.5年。
【テイスティングコメント】
香り:熟れたバナナ。熟成した紹興酒のような香りも。アフターにナツメグ。
味わい:オークにしみ込んだ、赤ワインのタンニン。徐々に、完熟したフルーツの甘み。
総評:樽の要素が全面に出ている印象。ややオリエンタルなニュアンスのある香りがとても面白い。
■SINGLE BARREL #10320 ABV 55.4%
アメリカンオークとオーストラリア産赤ワイン樽で熟成されたシングルバレル。熟成年数はおよそ5年。
【テイスティングコメント】
香り:熟れたバナナ。凝縮感のある赤い果実。神秘的な発酵臭がする。かすかにトリュフ。
味わい:赤い果実を煮込んだような甘みと、どこか腐葉土や落ち葉を感じさせる「地」の要素が絡み合っている。力強く、長い余韻。
総評:感性に訴えかけるような魅力。ただならぬアロマ、そして複雑な味わい。素晴らしいウイスキー。
一番最初の #8800 は、びっくりするほど美味しかったです。今まで飲んだウイスキーの中で、五指に入るレベルでした。最後の #10320 も、非常に興味深い・・・。赤ワイン樽熟成のウイスキーの深淵なる魅力を垣間見れた気がします。
今後、長期熟成のウイスキーが発売されるのが今から楽しみです。メルボルンは寒暖差が激しいため、熟成が早く進むと言われています。今回シングルバレルのウイスキーを味わってみて、10年熟成したらスゴいウイスキーが誕生するんじゃないかな~と感じました。
ウイスキーを計8杯テイスティングした後は、蒸留所見学ツアーに参加しないかとバーテンダーの方に誘われたので、急遽参加することにしました。通常、最低参加人数は2名のようですが、参加できることに感謝!(一人で訪問していました。)参加料金は通常、一人あたりAU$60です。(高い・・・)
2階にあがり、蒸留所の方の説明を受けることに。発酵した麦汁を飲んだり、テイスティング(TWO-FOLD、Nova、100-proof)ができます。残念ながら、撮影は禁止。ツアーに参加する前にカメラやスマホはロッカーに置いていかなければなりませんでした泣
計11杯のウイスキーをテイスティングし、心地よい酔い加減になったので、この日はこれで帰ったのですが、2日後にまた訪問してしまいました。完全に、スターワード蒸留所のウイスキーにハマってしまいましたね!赤ワイン樽熟成のウイスキー、恐るべし。
今回テイスティングするのは「Project」。実験的でちょっとクレイジー(!?)なウイスキーを3種飲み比べすることができます。
これらは全て蒸留所で販売していました。高い酒税のため、いずれもなかなかのお値段です泣
GINGER BEER CASK #7 48% ABV
赤ワイン樽熟成原酒とアペラワイン(オーストラリアの酒精強化ワイン)熟成原酒をブレンドした後、ジンジャービアの樽で12カ月後熟したシングルモルト。使用されている原酒はすべて2018年に熟成されている。
【テイスティングコメント】
香り:強烈なジンジャービアの香り!スパイシーだが生姜糖のような甘さもある。かすかにシナモン、熟れたバナナ。生姜に圧倒される。
味わい:ドライでピリッとスパイシー。ショウガ汁を飲んでいるみたい。若々しい原酒の力強さを感じる。
総評:ドストレートの生姜感・・!プロジェクトの名に相応しいウイスキー。
OCTAVE BARRELS 48% ABV
「オクタブ(OCTAVE)」は100Lサイズの樽のこと。オーストラリア産シラーズワインの銘醸地で知られるバロッサの名門ワイナリー「ヤルンバ」のレアワイン「ヤルンバ ザ オクタヴィウス オールド ヴァイン シラーズ」に使用されたオクタブバレルで熟成した原酒のみを使用したシングルモルト。
【テイスティングコメント】
香り:レーズン、デーツ、かすかにアニス。クリームシェリーや砂糖菓子を思わせる甘い香り。赤い果実の甘酸っぱさ。かすかにバナナ。
味わい:完熟したフルーツの甘みと、樽感が素晴らしいバランス。しっかりとしたタンニンを感じる。
総評:樽の個性が味わいに反映されたウイスキーだと感じる。樽と原酒由来の個性や持ち味が究極的なバランスで共存している。
SINGLE MALT AUSTRALLIAN WHISKY FINISHED IN EX-LAGAVULIN BARRELS 48% ABV
赤ワイン樽熟成のシングルモルトウイスキーを、アイラの雄「ラガヴーリン」のピーテッド樽で18カ月熟成させたシングルモルト。
【テイスティングコメント】
香り:・・・!穏やかだが、甘みを帯びたユニークなピート香。晴れた日の丘の温かな土のような、大地を感じさせる香り。野山に自生している赤すぐりの可憐なアロマ。
味わい:甘みを宿したピーティなフレーバーが穏やかに口内に広がる。柑橘系の爽やかなアロマとともにピート香が鼻腔を抜ける。紅茶を思わせるタンニンも感じられ、かすかに塩気もあり、オークの柔らかいタッチも心地よく、陶酔感のある余韻。
総評:素晴らしいウイスキー。ピート×赤ワイン樽の面白さが分かる珠玉の1本。家に常備したい!!!
「樽」の面白さを体験した飲み比べでした。ジンジャービアカスクは想像以上に生姜が強烈で、少しお高めのシングルモルトですが、これでカクテルをつくったら面白そうだなーと感じました。そしてラガヴーリンの樽で後熟させたシングルモルト、これは素晴らしいですね。もともと、アイラウイスキーの中でも個人的にラガヴーリンは大好きだったので、ラガヴーリン×スターワードのコラボウイスキーは自分に刺さりました。
今すぐ買って帰りたいウイスキーはたくさんありましたが、酒税が本当に高いので、今回は何も買わず。日本で入手できないものだけ、日本に帰国するときに買って帰るか悩み中であります・・。一番買おうか迷っている「ラガヴーリン樽で後熟させたシングルモルト」は199$でした。円安で1AUD=106円近くになっているのがすごく痛いところ。早く円安収まれ・・・!!!
スターワード蒸留所訪問記はまだ続きます。現在鋭意執筆中なので、しばらくお待ちください!