【2024年】スターワード蒸留所訪問記①

美食とアートの街で知られる、オーストラリアのメルボルン。2007年、世界一住みやすいともいわれるメルボルンの地に創業したスターワード蒸留所は、2018年にアイコン・オブ・ウイスキーより「ベストオーストラリアンウイスキー」を受賞するなど、オーストラリアのウイスキー業界を牽引する大注目の蒸留所です。

この記事では、スターワード蒸留所を何度も訪問し、実際に見た・聞いた・飲んだ経験についてまとめています!何回かに分けて記事を出していく予定なので、少しでも興味があればお付き合いいただけると嬉しいです。

スターワード蒸留所
スターワード蒸留所。短期間に何度も通うほど、楽しい体験ができる。


スターワード蒸留所。日本でもスターワード蒸留所のウイスキーを目にすることが少しずつ増えてきたので、ウイスキー好きなら知っている方も多いかもしれません。

スターワード蒸留所がユニークなのは、なんといっても熟成にオーストラリア産の赤ワイン樽(もしくは酒精強化ワインのアペラ樽)を使用していること。それも、リチャーを施している樽ではなく、まだ中が湿っているワイン樽で熟成をさせています。(アペラワインについてはこちらの記事で説明しています!)

そのため、スターワードのウイスキーは、しっかりとしたタンニンを感じます。「タンニン」という言葉を、ウイスキーに使う日が来るとは・・!ちなみに、オーク樽そのものにもタンニンは存在します。特に、コニャックの熟成に使われるリムーザンオークはタンニンの含有量が多いことで知られています。なので、赤ワイン樽熟成のウイスキーでなくとも、もしかしたらタンニンを感じるウイスキーがあるかもしれません。しかし、スターワード蒸留所のウイスキーは、そうまるで赤ワインのように、しっかりとタンニンを感じることができるものが多いのです。このタンニンこそが、スターワードのウイスキーならではの個性の一つだと感じています。

スターワード蒸留所


最初から赤ワイン樽熟成を前提に設計されたスターワードのウイスキーは、スコッチやアイリッシュにはない個性であふれていて、型にとらわれないスタイルにワクワクしますね。

ちなみに、ここ何十年にわたってウイスキー蒸留所の数を増しているタスマニア島(オーストラリア本土よりも蒸留所が多いらしい)のウイスキーは、トゥニーポートスタイルのワイン樽で熟成を施しているところが多いです。蒸留所が増えたことで、最近ではバーボン樽で熟成したり、新しい試みをするところも出てきていますが、タスマニアのクラシックスタイルは、トゥニーポートスタイルのワイン樽で熟成させるもの。それに対してスターワード蒸留所では、あくまでオーストラリア産の赤ワイン樽で熟成させています。

スターワード蒸留所
スターワード蒸留所のバックバーの一部。日本未発売のラインナップがほとんどを占める。


新進気鋭のスターワード蒸留所は、メルボルンのシティから公共交通機関を使って約30分ほどで行けます。けっこう近い!ちなみにスターワード蒸留所の営業日は、木曜から日曜日。週に4日間の営業です。曜日によって営業時間が異なるのでご注意を!

スターワード蒸留所


蒸留所内はバーエリアと蒸留施設が併設されています。バーエリアはとても広く、カウンター席とテーブル席があります。天井が高くて、とても開放的です。

10名以上の団体客から、1杯だけウイスキーをあおってすぐに帰っていく常連客まで客層は様々で、バーでウイスキーやカクテルを飲んでから、併設の施設見学(有料のツアー)に参加している方もいました。

スターワード蒸留所 テイスティング


バーでは、ウイスキーの飲み比べメニューや、ウイスキーのカクテルが楽しめます。スターワード蒸留所では、ウイスキーだけではなくカクテルにも非常に力を入れており、シンプルなカクテルから、非常に手の込んだオリジナリティ溢れるものまで、、メニューが非常に充実しています。

スターワード蒸留所 ウイスキートニック
ウイスキー(トゥーフォールド)のトニック割。フィーバーツリーの「ミディタレーニアントニックウォーター」を使用。


ウイスキーのメニューも非常に豊富です。今までたくさんの蒸留所を訪問してきましたが、ここまでメニューが充実している(オンリストしているウイスキーの数が桁違い!)蒸留所は初めてです。

スターワード蒸留所 ウイスキーフライト


「WHISKY FLIGHTS」。飲み比べメニューです。シングルバレルやカクテルの飲み比べもありますが、まずは主力商品である「Two-Fold」や「NOVA」のある「Starward Essential」を飲んでいきます。

スターワード蒸留所 ディスティラリーセレクション
一番左のグラスだけ、スターワード蒸留所のロゴ入り。

「Starward Essential」のウイスキーは、①Two-Fold ②Nova ③100 Proof ④Solera ⑤Project の5つ。


①Two-Fold

スターワード蒸留所 トゥーホールド

オーストラリア産のモルトと小麦を使用し、同じくオーストラリア産の赤ワイン樽で熟成したブレンデッド。通常のブレンデッドウイスキーとは異なり、モルトと小麦原酒の2つのみをブレンド(folded together)しています。なので「TWO-FOLD(トゥーフォールド)」という名前なんですね!

【テイスティングコメント】
□香り:赤い果実に、バニラの甘み。リンゴのフレッシュなアロマもある。上品な香りたち。

□味わい:蜂蜜に潮キャラメル。香りと味わいのギャップが楽しい。飲み込むと、フルーティな香りがふわっと鼻腔を抜ける。パワフルだが、喉を焦がさない酒質。

□総評:素晴らしいウイスキー。パワフルだが、飲み疲れしない。小麦原酒の良さが感じられる。スターワード蒸留所ではカクテル用としても使われることが多いようだが、ストレートで楽しめる。ロックでも良さそう。



②Nova

スターワード蒸留所 ノヴァ

オーストラリア産のモルトを100%使用し、オーストラリア産の赤ワイン樽で熟成したシングルモルト。

【テイスティングコメント】
香り:ナツメヤシやデーツのような甘い香り。赤ワイン樽由来のレッドベリー系のアロマ。

味わい:蜂蜜や塩キャラメル、甘塩。パンチのある力強い酒質。

総評:Two-fold(トゥーフォールド)以上に、赤ワイン樽由来のレッドベリーの主張が強い。蒸留所を代表するモルトであると感じる。



③100 Proof

スターワード蒸留所 100PROOF

アメリカンオークの赤ワイン樽で熟成されたウイスキーで、アルコール度数50度のシングルモルト。

【テイスティングコメント】
香り:バニラやデーツ、ザラメの甘い香り。徐々にブラックベリージャムやバナナシフォンのような果実系の甘い香りが顔を出す。

味わい:香りとギャップのない味わい。様々なタイプの甘みを感じられるが、ボディが非常にしっかりしているため味わいのバランスがよい。

総評:パワーのあるデザートモルト。パワフルなバーボンにも似た円熟味を感じる。



④Solera

スターワード蒸留所 ソレラ

オーストラリアの酒精強化ワインである「Apera(アペラ)」樽の熟成に40~50年使用された樽で熟成したシングルモルト。こちらもオーストラリア産モルトを100%使用

しています。ソレラとは、シェリーの熟成方法の「ソレラシステム」のことで、アペラもこのソレラシステムで熟成されています。

【テイスティングコメント】
香り:とにかく甘やかな香り。クリームシェリー、クレームブリュレ。キャラメルにバナナ。

味わい:香りと味わいにギャップがない。キャラメルのような甘さもある。

総評:完全なるデザートモルト。これがあればデザートはいらないかもしれない笑



⑤Project

スターワード蒸留所 プロジェクト

スターワード蒸留所では、たくさんのウイスキープロジェクト・・なるものがあり、様々な樽で熟成させ、それをブレンドして・・と試行錯誤し、面白いウイスキーをつくろうとしています。これはそのうちの一つ。5種類(赤ワイン樽、アペラワイン樽オーストラリアントゥニーポート樽、バーボンカスク、ラムカスク)の樽で熟成されているとのこと。

【テイスティングコメント】
香り:はじめはバナナ、枝付きレーズン。徐々にダークチョコレートや、赤い果実が出現。アフターには、かすかにトリュフや木の葉。

味わい:赤い果実やドライフルーツ主体の構成。ややオイリーな酒質。複雑味のある甘みを舌の上に転がしていると、トリュフや腐葉土のような香りが鼻を抜ける。非常に長い余韻。

総評:非常に複雑なウイスキー。要素が多く、ミステリーのよう。ワクワクするエキサイティングなモルト。



いやーどれも新鮮。そして素直に美味しい!5種すべて非常に素晴らしいウイスキーでしたが、特に記憶に残ったのは、①Two-fold(トゥーフォールド) と ⑤Project でした。

①Two-fold(トゥーフォールド)に関しては正直、一番安価で唯一シングルモルトではないモノだったので、少しナメてました笑。カクテル向きともされているウイスキーですが、ストレートでもめちゃめちゃ美味しいですね。蜂蜜のような甘みやリンゴのようなフレッシュなアロマもしっかりしていてボディも強いので、コーヒーと合わせても味わいが崩れ無さそう。アイリッシュコーヒーならぬオーストラリアンコーヒーにするにはどんなコーヒーと合わせられるかな・・・と思いながら飲んでいました。

⑤Project。これはすごいウイスキーでしたね。シャトーパルメのような難解なボルドーワインの持つ複雑なアロマを嗅いでいるみたいで、とにかく衝撃。若干鼻がつまっていたので、万全の状態でもう一度飲みたいです笑

スターワード蒸留所 蒸留施設

今回紹介したウイスキーは、日本でも手に入ります。というか、日本のほうが圧倒的に安く手に入ります!!(オーストラリアは特にハードリカーの酒税が高いため)下にリンクを貼っておくので、是非チェックしてみてください!実店舗だと、成城石井で見かけたことがあります。



スターワード蒸留所

スターワード蒸留所には、まだまだ愉快(?)なウイスキーたちがあります。続きの記事では、シングルバレルや、変わり種のウイスキーの飲み比べ・テイスティング内容を紹介します。

★次の記事は現在準備中・・・

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