岐阜県岐阜市殿町にある老舗喫茶店「ル・モンド」は、50年近くにわたる長い歴史を持つ名店。
岐阜駅や柳ヶ瀬商店街からそう遠くない、やや閑静なエリアにあります。

アイリッシュコーヒーはここ「ル・モンド」の名物となっており、店前の看板には「当店自慢 アイリッシュコーヒー」と書かれていました。こちらのアイリッシュコーヒーは、SNSでもプチバズりしているのをよく目にします。
私は、ここのアイリッシュコーヒーを飲みたいがために、わざわざ岐阜に訪れたこともあるほどの熱狂的なファンなんです。



「ル・モンド」は数あるコーヒー専門店のなかでも、コーヒーの種類が多く、特にバリエーションコーヒーのラインナップは、目を見張るものがあります。

チョコレートとブランデーの入った「ハリウッドコーヒー」や、生クリームとシナモンシュガーを使用したラム酒入りのコーヒー「ジャマイカンコーヒー」、そしてアイスコーヒーにラム酒を注ぎ、ソーダ水を加えたラテンアメリカのコーヒーである「トロピカルコーヒー」など、アイリッシュコーヒー以外にもお酒を使用したバリエーションコーヒーが充実しています。
「アイリッシュ コールドコーヒー」というアイリッシュコーヒーのアイス版もありました。



9時半から11時の間にはモーニングメニューも楽しめます。日替わりで少し内容は変わるそうですが、厚切りトーストやゆで卵、フルーツを、サイフォン式で淹れたコーヒーと一緒にいただけるのが魅力です。

ピザトーストなど、モーニング以外のフードメニューも充実しているためか、コーヒーだけでなく、フードも一緒に注文しているお客さんを多く見かけました。

一番人気のメニューは聞きそびれてしまいましたが、おそらくアイリッシュコーヒーだと思います。(信じたい!)
カウンター席に座ると、アイリッシュコーヒーが作られる様子を目の前で楽しむことができます。

理科の実験を彷彿とさせるサイフォン式のコーヒー。なんだかワクワクしますね。

アイリッシュコーヒー用のグラスに砂糖を入れ、ウイスキーを注いだ後は、銅製の専用ウォーマーでしっかりと加熱。一点が熱くなりすぎないように、ゆっくりとグラスを回転させて、グラス全体がまんべんなく温まるようにします。
使用されるアイリッシュウイスキーは「ジェムソン」。老舗のコーヒー専門店だど、リキュールである「アイリッシュミスト」を使うお店が非常に多いですが、ここは正真正銘のアイリッシュウイスキーを使います。

火がよく見えるように、マスターが照明を落としてくださいました。青白い炎が幻想的です。グラスの中から、香ばしい甘やかな香りが少しずつ顔を出てきました。アルコールを飛ばすだけでなく、よりウイスキーを味わい深く、そしてコーヒーと調和するようにする工程でもあると思います。

十分にグラスが温まったら、グラスの口を火に近づけウイスキーに着火! コーヒーを注ぐと、青白い炎は消えます。

最後に、マスターが丁寧に手で泡立てた生クリームをスプーンでやさしくコーヒーの上に浮かべれば、完成です!
カウンター席から、アイリッシュコーヒーをつくる一連の流れを眺めていると、なんだか時間の経過が遅く感じられる不思議。
ちなみに! テーブル席に座っても、炎のパフォーマンスを見ることができます。サービス精神旺盛のマスターに感謝・・・。

年季の入ったトレーには、ウイスキーと砂糖が入ったアイリッシュコーヒーのグラスと、銅製ウォーマーとライター、そして生クリーム。


このグラスは、耐熱仕様にはなっていないため、少しコツがいります。(某有名バーテンダー曰く)長時間、火にかけていると、簡単にパリンと割れてしまうこともあるんだとか。


ウイスキーの陶酔感、苦味と酸味が豊かなコーヒー、そしてほのかな甘みを持つ生クリームが、口内で混然一体となり、他に類を見ない芳醇で奥深い味わいを創り出します。この味わいは、アイリッシュコーヒーでなければ味わえない、特別なものです!

フランス発祥の、ブランデーを使ったカフェロワイヤル。本場のレシピだと、生クリームも入れるようですね。火がよく見えるように、照明を落としてくださいました。



何度訪れても、変わらず素敵なお店と温かいマスターに迎えられる場所。ここのアイリッシュコーヒーを飲むために、岐阜に訪れる価値があります。

帰り際に小冊子をいただきました。「ル・モンド」のアイリッシュコーヒーへのこだわりや魅力がぎっしり詰まっていて、読んでいるだけでまた飲みたくなるような内容ですね。
アイリッシュコーヒーを求めにここに来る人たちは、みんなこの一杯に特別な思いを抱いているんだろうなとしみじみ感じます。