【2023年】カルヴァドス旅行記Ⅲ(CHATEAU DU BREUIL)

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ノルマンディー滞在2日目。

この日はユニークなボトルで有名なシャトードブルイユ蒸留所(CHATEAU DU BREUIL)に行くアポイントをとっていた(特別なツアーを申し込んでいた!)

しかしあいにくの雨。なかなかの曇天であった。



ホットチョコレート
朝食前のホットチョコレート。ホットチョコレートのほか、紅茶とコーヒーも選ぶことができた。

タクシーがつかまるか分からなかったため、ホテルで朝食を手短に済ませた後、蒸留所に向かうことにした。

ホテル予約サイトをみると、ここのホテルの朝食はやや割高であるというレビューがあったが、ここ最近タンパク質と食物繊維が不足しており、昨夜もろくに食事ができていなかったので、迷わずここで朝食をとることにした。

まだ朝早かったからか、お客さんは誰もいなかった。


パン
フルーツとジャム
ヨーグルト
ゆで卵製造機
オレンジ絞り機

パンやハム、フルーツやヨーグルトのほか、ゆで卵製造機やオレンジ生絞り機もあり、豪勢ではないものの、とても心躍るモーニング!

フランスにきて初めてクロワッサンとパンオショコラを食べた。

エシレのようなバター香る重ためのクロワッサンを想像していたが、日本のスタンダードのものよりも軽くてサクサクしている食感だった。

チーズやハムはくせがなく、とても食べやすい。


朝食スペースにはバーカウンターが併設されており、シャトードブルイユのボトルが置いてあった。

エレガントで目をひくボトルである。

よく見ると、エチケットにホテルの名前が刻まれていた。



さて腹ごしらえもおえ、いよいよシャトードブルイユ蒸留所へ。

ホテルから蒸留所まで8kmほど距離があったため、Grabでタクシーを呼ぼうとしたものの、配車できず。

仕方ないので、歩きでいくことに。

雨天であったため、地面はぬかるみ、足場が非常に悪かった。

道はほとんど直線であったので、分かりやすかったものの、歩道(と呼べる道でもない)がとにかく狭く、車が歩く道の間近をすごいスピードで走っていくので、とても危ない旅路であった。

歩道は舗装されておらず、土が雨水を含んで半ば泥と化しており、足裏にひっつくので、一歩一歩神経をすり減らしながら歩いた。

少し進んだところで、右脇に歩行者専用(?)の抜け道があったので入ってみる。


脇道
野生動物が飛び出してきそう

足場は、車道と隣あわせの先ほどの悪路よりも悪かったものの、空気がすごく心地よかったのをよく覚えている。

車がすぐそばを猛スピードで通り過ぎるストレスもなく快適だったのだが、すぐにこの路は途絶え、もとのデンジャラスロードを歩まざるを得なくなった。

3kmほど歩んだところで、幸運なことにそばを通った方が私をひろってくれた。とても車高の高い車で、乗るのも少し苦労した。

車にのって、視界の悪さにびっくり。雨に加えて霧がかかっていたので、私の歩いていた路は蜃気楼のようにぼんやりとしていた。



車に乗せてくれた方と話してみると、どうやらアルジェリアかナイジェリアから来たお医者さんのよう。

ポンレヴェックのホテルから歩いてきたことを告げると、クレイジーだと笑われてしまった。

車に乗ってからは、あっという間にシャトードブルイユ蒸留所にたどり着いた。



親切なお医者さまに感謝!ツアー開始まで時間がまだあったので、敷地内を散策することに。

シャトードブルイユ蒸留所についての簡単な説明は下記の通り。(誤った情報があればメッセージでお知らせください。)


■シャトードブルイユ蒸留所

  • 約420,000本のボトルを毎年生産している、A.O.C. ペイドージュ(一番優良なカルヴァドスを産出するといわれる地域)の中で2番目に大きなカルヴァドス蒸留所。42ヘクタールの土地に、22,000本ほどのリンゴの木が植えられている。
  • 60カ国以上に輸出をしており、ホテルやワインショップ、バーやレストランで取り扱われている。
  • トップが蝋でおおわれている特徴的なボトルは、Philippe Bizouard氏によってデザインされており、くびれにある紐は手作業でつけられている。
  • ウイスキーだけでなくラムやウイスキーも手がけており、2020年にラム(Rum Explorer)、2021年にウイスキー(Le Breuil)をリリースしている。

↑ちなみに、シャトードブルイユの代表的なボトルは15年モノ(だと思う)。レストランでも食後酒としてメニューに載せているところも多い。



売店兼ビジターセンターを発見。コロンバージュという建築様式の建物である。

お店の方にツアー(特別なツアーを申し込んでいた。詳細は次回の記事にて!)に申し込んでいる旨を伝え、開始時刻の10時までは、売り場コーナーを眺めたり、試飲スペースで時間をつぶしていた。

待っている間、ご厚意でリンゴジュースを出していただいた。

リンゴの素直で控えめな甘さのなかに、品のよい酸味がのっていて、この上なく美味。



日本のリンゴジュースと比べて甘味は控えめだが、甘味と酸味がバランスがとにかく絶妙。素晴らしい味わいだった。

リンゴジュースに舌鼓をうって十数分ほどが経った後、ツアーがはじまった。

ガイドは20代と思われる男性1人。マンツーマンでガイドしてくれるようだ。

フランス人の方だったが、英語が堪能だった。

先ほどまでいたビジターセンターを出ると、トラックからの放水でリンゴを洗っている現場をみることができた。


シャトードブルイユ(Chateau du Breuil)

リンゴの甘い香りが漂ってくる。様々な色合いのリンゴが混在している。

下の写真は、ツアーが始まる前に撮影した写真。すごい放水量。


シャトードブルイユ(Chateau du Breuil)

色合いからもわかるように、多様なリンゴを一緒にこのまま醸造・蒸留するようで、その理由は味わいに複雑みをもたらすため(だった気がする。)

リンゴを洗っている現場を見た後は、樽貯蔵室へ。

樽貯蔵室は1つだけでなく、敷地内に複数存在していた。


シャトードブルイユ(Chateau du Breuil)

先ほどのリンゴ果実の新鮮な香りとは違い、重厚感のある濃厚なブランデーの香りがする。

カルヴァドスがここで眠りについていることが、樽貯蔵室に足を踏み入れた瞬間に理解できるほど、室内が深淵な香りに満ち満ちていた。

樽や熟成の話を聞いたあとは、少し離れたところにある建物をまわることになった。



洗練されていて、でも親しみやすさのある建物。

雨をさしながら、ガイドの方と談笑しながら風雅な道を歩いていく。

カルヴァドス蒸留所に来たんだなあとしみじみ実感した。


お次は、ポットスチル(蒸留器)のある部屋へ。



コニャックで使われるものと同じシャラント式のもの。※コニャック地方の属するシャラント県から名づけられている。


シャトードブルイユ(Chateau du Breuil)

蒸留の仕組みを一通り説明いただいた後は、また樽の貯蔵室へ。※蒸留の仕組みについては、気が向いたときに記事にすることにする。

ここでしか味わえないであろう、感動体験が待っていた。



様々な年代の樽が、地下貯蔵室で眠りについていた。

しめっぽい土のこもった臭いもするのだが、リンゴ果実のフレッシュなアロマに、熟成を経た往年のカルヴァドスの重厚感をまとった濃厚な香りが混ざり合い、とても複雑な香気が漂っている。

樽にはエレガントなロゴの下に、ナンバーと容量、度数などの情報が記載されていた。

樽の上部には小さな穴があいており、通常穴はふさがっているものの、中の液体を確認することができる仕組みになっている。



中でもとりわけ古い古酒(1樽分しか残っていないよう)の香りをご厚意で嗅がせてもらったのだが、とてつもない凝縮感のある香りにとても驚いた。

リンゴを煮詰めたような、タルトタタンの甘露な香り。極上のランシオ香も感じられる。

言葉にするのがとても難しいのだが、香りが強いというより、水平線のような余韻のある、なんとも生命力を感じさせるような香りだった。

何十年も熟成された古酒にもかかわらず、瑞々しい生命力であふれているのはとても不思議である。

(あまりにも素晴らしい香りだったので、何度か「おかわり」してしまった。)


シャトードブルイユ(Chateau du Breuil)

樽貯蔵室で感動体験をしたあとは、いよいよテイスティングとブレンディング体験。

こちらは次の記事で書くことにする。


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