【プラハ】カフェ・スラヴィア(Café Slavia)

「老舗カフェ」と聞くと、いかにも格式張った店を想像しますが、プラハにはその期待を少し裏切ってくれる名店があります。プラハが誇る老舗中の老舗、「Café Slavia」です。

現在カフェが入る建物は、1861~1863年に建てられたラジャンスキー宮殿。チェコを代表する作曲家ベドルジハ・スメタナも、かつてここで暮らし、創作活動を行っていたといいます。

カフェの創業年は、公式サイトでは1881年、チェコ政府観光局では1884年とされており、なぜか数年のズレがあります。とはいえ、19世紀から続く歴史あるカフェであることに変わりはありません。百年以上の時間を刻んできた店で、ひと息ついてみることにしました。


Café Slavia
所有権をめぐる法的紛争で1991年or1992年に閉店。1997年から再開しています。

欧州の歴史あるカフェには、著名な作家や芸術家が通っていたという逸話がつきものですが、ここも例外ではありません。

共産党政権下には、反体制派が集う場所として知られ、のちに大統領となるヴァーツラフ・ハヴェルや詩人イジー・コラーシュらが、体制の「正常化」期にたびたびここへ集っていたといいます。ほかにも、ノーベル文学賞受賞者の詩人ヤロスラフ・サイフェルトや、作家アルノシュト・ルスティクらが足を運びました。

なかでもハヴェルには、窓際の奥にいわば「指定席」があったそうで、ほかの客はそこに座ることができなかったとか。カフェの一角に、時代の空気を背負った人物のための席が残されていたと思うと、ただコーヒーを飲むだけでも少し違って見えてきます。


Café Slavia
ショーウィンドウに並ぶケーキ。ちょっぴり雑多な感じがあるのも、なんだかいいんですよね。

そんな名門カフェに実際に足を踏み入れてみると……意外にも、そこに広がっていたのはどこかファミレスを思わせる、気取らない空間でした。

そして、このカフェはとにかくメニューが豊富です。

スイーツには、さまざまなケーキやアイスに加え、チェコの定番スイーツであるクレープ「パラチンキ」も。フードも、パスタや煮込み料理、サラダから、ビールのお供になりそうなおつまみまで揃っています。


Café Slavia
ちょっとクセの強いメニューブック

さすがヨーロッパというべきか、「Café Slavia」には、お酒を使ったコーヒーメニューがたくさんあります。

定番のアイリッシュコーヒーはもちろん、エッグノッグ(カフェのメニューにエッグノッグ…!)やベイリーズコーヒー、さらにはアブサンを使った「スラヴィアコーヒー」まで。

店名を冠したこの一杯があるのも、アブサンがこのカフェと深い縁を持つからでしょう。

店内でひときわ目を引くのが、ヴィクトル・オリヴァによる1901年の油彩画『アブサントを飲む男』。男がぼんやりとアブサンを飲むその傍らには、緑色の幽霊のような裸婦の幻が座っています。どこか妖しく、そして少しユーモラスなこの絵は、なんとメニューの表紙にも使われています。



筆者はアイリッシュコーヒーとマンゴー&パッションフルーツのソルベ、そしてスパークリングウォーターを注文。

肩肘張らない老舗カフェでいただくアイリッシュコーヒー、そのお味はいかに。



Irish Coffee 99czk

Café Slavia
撮影日(2020/03)

シルバーのトレイに乗って運ばれてきたアイリッシュコーヒー。もちろん、お水もしっかり添えられています。(その姿を眺めていると、どことなく共産主義的なオーラを感じる……のは、気のせいか…)

生クリームは、おそらくスプレー缶タイプのもの。しっかりとした固さはありますが、少し風味に乏しい印象です。

肝心のコーヒーとウイスキーについては、味がぼやけすぎているというのが正直な感想でした。

まるで、コーヒー豆の粉をそのままお湯で割ったかのような味わい。

コーヒーにあるべき苦味はほとんど感じられず、野暮ったい甘味と粉っぽいコーヒーの風味だけが、空疎に口の中へ広がります。

使用されているアイリッシュウイスキーは「タラモアデュー」。


プラハでは4軒のカフェでアイリッシュコーヒーをいただきましたが、タラモアデューはここが初めてでした。

うーん、期待しすぎてしまったのか、残念なアイリッシュコーヒー。

一緒に注文したソルベが美味しかったのが、せめてもの救いでした。


Café Slavia
マンゴー&パッションフルーツ味のソルベ

アイスをつまみながら、なんとかアイリッシュコーヒーを飲み干そうと奮闘したものの、あえなく断念。

そして、このクオリティにもかかわらず、気の強そうな(いや、気の強い)ウエイトレスに半ば強引にチップを毟り取られ、私は敗残兵のような足取りで店を後にしました。


プラハ
プラハの一風景。「Café Slavia」と特に関係はありません。

ちなみに。ここでは、ローストダックのダンプリング添えやビーフグーラッシュなど、伝統的なチェコ料理も楽しめるので、夜ごはんでの利用もよさそうです。なお、本格的な料理の提供は11時からのようなので、このあたりは訪れる前に要チェック。

さらに、毎日17時~22時にはプロのピアニストによる生演奏も楽しめるそうです。今回は昼間にコーヒーをいただきましたが、次回はぜひ夜に訪れて、アブサンでも一杯あおりながら、ピアノの生演奏まで楽しんでみたいところ。そうなれば、かなり「プラハに来た感」のある夜になりそうです。



バナー
バナー
東京で美味しいアイリッシュコーヒーが楽しめるカフェをご紹介! バナー

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA