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サリヴァンズコーブ蒸留所&ベルグローブ蒸留所訪問、そしてタスマニアンウイスキーウィークのイベント参加で連日ウイスキーをしこたま飲んでいましたが、タスマニア滞在4日目もウイスキーをしこたま飲む予定を入れていました。
それは、オールドケンプトン蒸留所の訪問です。ただの訪問ではなく、タスマニアンウイスキーウィーク期間限定のツアー(ウイスキーハンドフィル体験付き!)を申し込んでいました!
日本での知名度はほとんどないと思われるオールドケンプトン蒸留所。もともとはレッドランド蒸留所として2012年にホバートから北西30kmほど離れたニュー・ノーフォークで創業しました。2015年に、ケンプトンに移転し、その際にオールドケンプトン蒸留所へと改名した歴史があります。
ホバートからバスにのってケンプトンへ。片道およそ50分、バスから降りたらすぐ蒸留所があります。公共交通機関でアクセスしやすい、数少ないタスマニアンウイスキー蒸留所と言っていいでしょう。
「オールド」ケンプトン蒸留所というだけあって、建物は非常に古く、1830年代に建設されたものだと言われています。ケンプトン自体がタスマニアでも古い町であり、農業や酪農業が盛んな地域です。この蒸留所の建物は乳製品の工場として使われていたようで、石造りの石壁に木製のドアなど、伝統的なビクトリア朝の建築様式が特徴的です。工場として使われてきたとは思えないほど、立派な建物ですね~。
建物に入ると、お土産コーナーが非常に充実していました。お酒のバラエティは非常に豊かで、ピノノノワールワインやポートワイン、アペラワイン樽で熟成されたウイスキーのほか、ジン、そしてリンゴやラベンダーのリキュールまでありました。
オールドケンプトン蒸留所では、セラードアとしてウイスキーなどのお酒をテイスティングできるほか、カフェとしても営業しており、軽食をとることができます。なので、今回はランチをここでとることにしました。
想像以上にメニューが充実していて、ピザやミートパイ、サラダにサンドイッチまで様々。オーストラリアのソウルフードであるミートパイは2つの種類があり、オールドケンプトンのウイスキーを使ったビーフパイと、クリーミーなチーズの入ったカリフラワーのパイがあったので、両方注文。どちらも美味でした。
アイリッシュコーヒーならぬ、ケンプトンコーヒーを発見。アイリッシュウイスキーの代わりに、特製のコーヒーリキュールを使用しているそう。リキュールは糖蜜のような味わいがあり、しっかりとした甘みのあるカクテルに仕上がっていました。見た目も非常に良き!
ちなみに、このカフェの空間、めちゃめちゃ心地がよいです。広々としていて、とても静か。日本の古民家カフェともまた違う、西洋の大きな古い豪邸の書斎を思わせる空間です。
カフェで優雅な時間をすごしたあとは、待ちに待ったツアー。ちなみに参加者は私1人で、ガイドの方とマンツーマンで敷地をまわることになりました。
この建物自体は非常に歴史のあるものですが、マッシュタンやポットスチルなどは新しいもの。近代的な設備に驚きました。
樽の熟成庫には、赤や青のマークを施された樽があちこちに。樽の種類をすぐに分かるようにするためらしいです。色で樽の種類を分かるようにしているのは画期的だと感じました。
お待ちかねの、ウイスキーハンドフィル体験!
このウイスキーは、マスカットワイン樽で熟成されたものです。
マスカット(muscat)ワインとは蜂蜜やキャラメル、ドライフルーツのような風味が特徴の、オーストラリアの主にビクトリア州で造られるデザートワイン。シェリーやアペラワイン同様、フォーティファイドワインです。
淡い琥珀色に、若干ロゼワインのような紅い色彩が混ざったような、美しい色をした液体。
今回ハンドフィルできる容量は200mlで、そのうち僅かだけその場で試飲してみましたが、ドライフルーツ様の甘さがありました。オーキーさは非常に控えめで、素朴な和菓子を思わせる甘みがあり、とても面白いです。
一通り敷地を見学したあとは、建物の中に戻り、テイスティングへ。テイスティングしたのは、下記の4種。
①The Old Stables 40.5%
②Classic Pinot Cask 46%
③Winter Release 2024 52%
④Coachhouse 60%
どのウイスキーにも共通して、「タスマニアのウイスキーらしさ」を想わせる素朴な味わいがあり、牧歌的な印象を受けました。タスマニア産の大麦を用いて、ノンチルフィルター&ノンカラーで造られているからか、派手さはないものの、タスマニアの自然、風土を思わせる気取らない朴訥なイメージを抱きました。
中でも、「The Old Stables」はオールドケンプトン蒸留所のスタンダードなウイスキーだけあり、非常にバランスがとれていて、ナッツやチョコレートのような香りに、トフィーに和三盆のような甘みにスパイスが加わった味わいで、ずっと飲んでいたいと思わせられるウイスキーでした。
お値段はなかなかのもので、一番リーズナブルな「The Old Stables」は500mlボトルでAUD169・・。カスクストレングスの「Coachhouse」は500mlボトルでAUD260となかなかに高額です。酒税の高いオーストラリアの、比較的小規模の蒸留所のウイスキーは高くなりがちなのがネックですね。
今回はミニボトルだけ購入して帰ることにしました。
ホバートに戻る帰りのバスまで時間があったため、近くのパブで時間をつぶすことに。地元の常連客でにぎわうローカル色の強いパブでしたが、嬉しいことに常連さんのグループの中に入れてもらい、楽しい時間を過ごせました。店員さんもとても親切で、Cheers Tasmania!