珠玉のラム「エルドラド」のすゝめ

オススメのお酒を紹介するコーナー第2弾は、ガイアナ共和国が誇るラム酒「エルドラド」です。アイリッシュコーヒーのブログらしく、第一弾に引き続き今回もアイリッシュウイスキーを紹介する予定だったのですが、どうしてもオススメしたかったので。。許してください。

エルドラド12年 モヒート
ダークラムでつくる、ちょっと贅沢なモヒート。


このエルドラドは、私にとってかなり思い出のあるラム酒です。

私がカナダのバンクーバーに住んでいたころ、このエルドラドをよく飲んでいました。カナダは酒税が非常に高く、特にウイスキーが非常に高価で、日本の市場価格の2倍以上するものも珍しくなく、なかなかウイスキーを飲むことがかないませんでした。そんななか、ラム酒は比較的安価で手に入ったので、酒屋に売っているラム酒は一通り片っ端から飲みました。バカルディやハバナクラブといったビッグネームから、少しマイナーなものまで、いろいろなラム酒を飲みましたが、一番気に入ったのがこの「エルドラド」だったんです。バンクーバーで出会ってドハマりしてからは、帰国後、日本でも家でよく飲んでいます。

エルドラド12年 ラムレーズン
レーズンをラムに漬けているところ。バンクーバーにて。

エルドラドをオススメする理由は、濃厚で力強い甘みがダイレクトに感じられるから。ストレートやロックでいただくのはもちろんのこと、ラムレーズンの材料としても最高です。そして、コストパフォーマンスにも優れているのも素晴らしいところです。

エルドラドとはどういうラム酒なのかを紹介する前に、少しだけ、そもそもラム酒とはどのようなお酒なのかを下に書いていきます。

ラムレーズン
ラムトニックと、エルドラド12年のラムレーズン。


ラム酒とは、サトウキビを原料とした世界4大スピリッツの1つに数えられるスピリッツ(蒸留酒)です。カリブ諸国だけでなく、フランスやアメリカ、南米各地や日本でもつくられています。

ラム酒は大きく分けて①原材料・製法 ②熟成期間・熟成方法 ③生産国のルーツ によって、スピリッツの特徴・個性が変わってきます。

①原材料・製法

・トラディショナル:サトウキビジュースから出る糖蜜(モラセス)からつくる方法。ラムは砂糖の副産物としてつくられてきた歴史がある。サトウキビから砂糖を製造する際、糖蜜は取り除かれるので、これを利用してラムが造られていた。全世界のラムの9割はこのトラディショナル製法でつくられているである。

・アグリコール:19世紀にフランス領植民地で確立した製法で、砂糖をつくらず、サトウキビジュースをそのまま原料とする。

・ハイテストモラセス:サトウキビジュースを加熱し、シロップ状に濃縮したものを原料とする製法。糖度が70~80%と高い。(糖蜜は40~50パーセント)

②熟成期間・熟成方法

・ホワイトラム:樽熟成をしていない無色透明のもの。世界で最も生産量が多いタイプで、カクテル向きとされる。カリブ海諸国においては、地元で消費されるラムの90%がホワイトラムと言われている。

・ゴールドラム:基本的に内側を焦がしていない(チャーリングしていない)オークの大樽、またはバーボン樽などで2カ月から3年未満の熟成をへたラム。熟成年数ではなく、色付き具合で瓶詰めするタイミングを図ることが一般的なため、大樽の横にはガラスの小さな容器がついており、原酒の色を常にチェックできるようになっていることが多い。

・ダークラム:バーボン樽などで3年以上熟成をしたラム。ゴールドラムとあわせ、熟成ラムの9割が輸出品。

・スパイスドラム:ホワイトラムにフルーツやハーブ、香辛料などを砂糖とともに漬け込んだ混成酒。日本では「リキュール」に分類される。英語ではラムパンチ、フランスではラム・アランジェと呼ばれている。

③生産国のルーツ
ラム酒は、各生産地の旧宗主国ごとに独自の進化を遂げてきた。ここでは、イギリス系、フランス系、スペイン系に分けて基本的な内容を描いている。

・イギリス系:綴りは「RUM」
骨太で濃厚な味わいが特徴で、特にガイアナ、ジャマイカのラムはこの傾向が強い。スコッチの技術を踏襲している。(代表銘柄:マイヤーズ、アプルトン、レモンハート)

・フランス系:綴りは「RHUM」
サトウキビ本来の風味を楽しめるアグリコールラムが多い。コニャックの技術を踏襲していることが多く、「VSOP」や「XO」といったコニャックおなじみの等級表記を主に使用している。(代表銘柄:バルバンクール、ラ・マニー)

・スペイン系:綴りは「RON」。スペイン系は"島もの"と"大陸もの"で個性が大きく異なる。
島もの:口当たりが優しい味わいで、度数も控えめの製品が多い。(代表銘柄:ハバナクラブ、サンティアゴデクーバ、ハバナクラブ)
大陸もの:ボディが厚く、しっかりといた甘みを感じるものが多い。(代表銘柄:ロンサカパ、ロンアブエロ)

宗主国のルーツによってラムの綴りが異なるのはとても面白いですね。ちなみに日本産のラム酒は「RUM」と書かれているものがほとんどです。

ロンアブエロ12年 エルドラド12年
ロンアブエロとエルドラド

さて、今回紹介する「エルドラド」は、①トラディショナル製法 ②ダークラム ③イギリス系 のラムとなっています。

エルドラドは、南米で唯一英語を共通語としているガイアナ共和国のラム酒。ガイアナのラムは全て、ガイアナに現存する唯一の蒸留所であるダイヤモンド蒸留所で生産されており、同蒸留所のオフィシャルボトルなんです。

エルドラド12年 15年

一般的なラインナップは12年、15年、21年。公式ホームページをみると、3年、5年、8年に加え、25年もあるようです。一番ポピュラーなものは12年でしょう。

特徴は、なんといっても濃厚な甘み。ラム酒に求める甘みが、ここにあります。上品で洗練された味わいではなく、無骨な(?)甘さ。私の思い描く、王道のラム酒です。

エルドラド12年 15年

【テイスティングコメント】
エルドラド 12年
□香り:レーズン。ナツメヤシ。焦がした砂糖。完熟した果実。微かにスパイス、オレンジの皮。

□味:凝縮感たっぷりの甘み。コクがあり、滑らかな口どけ。香りと味わいにギャップがない。

□総評:果実様の濃厚な甘みがたまらない。

エルドラド 15年
□香り:レーズン、ナツメヤシに加えて、キャラメルやトフィー、濃厚なバニラもある。かすかにダークチョコレートやスパイスも感じられる。

□味:12年よりもさらに凝縮感のある甘み。味わい深いナッティなコクがある。アフターはレーズンの爆発!(かすかに硫黄も感じる?気のせいか・・)

□総評:濃厚な甘みに圧倒されるが、注意深く香りを拾っていくと、このスピリッツのもつ複雑さに度肝を抜かれる。



12年と15年の比較になってしまい、絶対的な評価でなくなった気もしますが、ご容赦を!私は今まで、スペイン系のロンサカパやロンアブエロを好んで飲んできましたが、このエルドラドは負けず劣らず、美味しいです。ロンサカパやロンアブエロのような上品で洗練された甘みではなく、無骨な甘みで、超濃厚。家に上備したい一本です。

ラム酒にあってほしい甘みが、ここにあります!
12年だけでも、飲んでみてほしいです。ハウスワインならぬ、ハウスラムに是非!

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