私が一番好きなお酒は、「カルヴァドス」です。カルヴァドスとは、フランス・ノルマンディー地方のカルヴァドス県とその近隣でつくられる、りんごや洋ナシからつくられるブランデーのこと。
私がなぜカルヴァドスが好きなのかというと、素材本来の味わい、つまりリンゴの甘みや酸味を、ダイレクトに感じられるからです。コニャックを飲んで葡萄の甘みを感じたり、ウイスキーを飲んで麦芽の地味に酔いしれることはありますが、カルヴァドスほど、ストレートに素材そのものの香りや味わいを感じられるものは無いと思っています。焼きリンゴ
私がなぜカルヴァドスが好きなのかというと、素材本来の味わい、つまりリンゴの甘みや酸味を、ダイレクトに感じられるからです。コニャックを飲んで葡萄の甘みを感じたり、ウイスキーを飲んで麦芽の地味に酔いしれることはありますが、カルヴァドスほど、ストレートに素材そのものの香りや味わいを感じられるものは無いと思っています。
フレッシュなリンゴの果実から、焼きリンゴ、リンゴのコンポート、そしてタルトタタン。カルヴァドスによって、どのようなリンゴが感じられるのかはモノによって違いますが、どれも紛れもないリンゴを感じられます。ここが、最大で最高の魅力。
・・・ここまで、リンゴの純粋な甘みや酸味をダイレクトに感じられるのが何よりの魅力だと説いてきましたが、今回ご紹介するのは、リンゴは入っていない、洋ナシ100%の極めて珍しいカルヴァドスです。その名も、「ローリストン カルヴァドス ドンフロンテ 100%ポワール」。洋ナシ100%って、めちゃめちゃ珍しいんです!このボトル以外で洋ナシ100%のものを、私は知りません。
ちょっとだけ、このカルヴァドスの説明をします。↓
このお酒のタイトルにある「ドンフロンテ」とは、カルヴァドスの原産地呼称の1つで、洋ナシの含有量が多いことで知られています。フランス北西部ノルマンディー地方でカルヴァドスは生産されており、カルヴァドスでは3つのAOC(フランスで制定された原産地呼称)が認定されています。一定の条件(下記)を満たさない限り、カルヴァドスと名乗ることはできません。
①ペイドージュ地区:洋ナシの混合比率は30%以下。単式蒸留器で2回蒸留。熟成は2年以上。 ②ドンフロンテ地区:洋ナシの混合比率は30%以上。連続式蒸留器で蒸留。熟成は3年以上。 ③カルヴァドス地区:熟成は2年以上。上記2地区を混ぜてもOK。 ※①~③ともアルコール度数は最低40度。
ペイドージュ地区は洋ナシを30%以下にしなければいけないのに対し、ドンフロンテ地区は洋ナシを30%以上入れないといけません。概して、ドンフロンテ産のカルヴァドスは洋ナシの混合比率の高いものになります。
そして、「ローリストン(Comte Louis de Lauriston)」について。ローリストンは、1992年にペイドージュの生産者兼蒸留業者のクリスチャンドルーアン(訪問体験記事はこちらから!)へブランド権を譲渡しているようで、現在もクリスチャンドルーアン氏のプライベートストックを瓶詰めしているそうです。
ローリストンは、各国のコンテストにおいて、非常に多くの賞・メダル(その数200近く!)を獲得するほどに高く評価されています。
ローリストンのカルヴァドスの特徴
・ドンフロンテ産
・洋梨を約50%使用(通常、AOCドンフロンテを名乗るには、洋梨が30%以上含まれていればOK)
・(銅製の連続式蒸留器にて)1回蒸留
・花崗岩土壌(独特な風味を与えるとされている)
・新樽もしくはリサイクル樽(小さいサイズのものが多い)で、1962年につくられたセラー内で熟成
いかに洋ナシ比率の高いドンフロンテ産といえ、洋ナシ100%はめちゃめちゃ珍しいです。ちなみに、AOCペイドージュ産で、リンゴ100%のカルヴァドスはいくつか存在します。アドリアンカミュやドメーヌフォルニエ(現在は生産中止)は、素晴らしいリンゴ100%のカルヴァドスでよく知られています。
カルヴァドスの多くは、リンゴと洋ナシをブレンドしてつくられていますが、比率はメーカーやブランドによって様々。この洋ナシ100%のカルヴァドスを知っておくことで、カルヴァドスの大体のリンゴ:洋ナシの比率が分かるようになる・・までにはいかないまでも、カルヴァドスの理解はとても深まること間違いなし。サンプルとして持っておいて損はないボトルだと思います。
いつも通りストレートで飲んだときのテイスティングコメントを書こうと思っていましたが、その前に!!
トニック割がめちゃめちゃ美味いです。梨の甘みが爆発します。ライムは絞っておらず、ただトニックで割るだけ。割るには少しだけ躊躇する値段のボトルですが、ストレートでは感じられない洋ナシの甘さがはじけるので、是非やってみてください!!
ちなみに、トニックウォーターは「フィーバーツリー」のものを使っています。オーセンティックバーでも使われることが多い「フィーバーツリー」は、キナ由来の優しい苦味が特徴のプレミアムトニックウォーター。人口甘味料を使っていないからか、嫌な甘みが全くありません。
【テイスティングコメント】
□香り:ポワレ。黄桃たっぷりのフルーツポンチ。紅玉の甘い蜜の部分。上品な樽香。バルサミコ酢。
□味:ドライでシャープだが、瑞々しいフルーツの酸味と甘みをしっかりと感じられる。10年未満の原酒中心だと思われるが、エレガントな味わい。余韻はアルコールのパンチがあるが、いやなスピリッティ感は皆無。
□総評:ストレートでももちろん楽しめるが、トニック割は必試!(こんな言葉ない)
カルヴァドスをはじめとするブランデーは、ウイスキーと比べて熟成年数の低いものが高価なのが玉にきず。。。