今までずっとアイリッシュコーヒーを飲めるお店の記事ばかりをアップしてきましたが、おすすめのアイリッシュウイスキーを教えてほしいというリクエストをチラホラといただくことも増えてきたので、これからは月1ペースで、私一押しのお酒(※)を紹介していこうと思います。
(※アイリッシュウイスキー限定だとすぐにネタ切れになりそうなので、ハードリカー全ジャンル対象予定です!)
新コーナー、最初に紹介するのはやはりアイリッシュにすべき・・・だと思うので、記念すべき(?)第1回目はアイリッシュウイスキー「レッドブレスト ルスタウエディション」を紹介します。
このウイスキーはトロピカルでオイリーで、ちょっとスパイシーさもあり、多面的な表情を持つアイリッシュ。飲み進めるうちに、ラムレーズン感も強くなるのでデザートモルトとしてもイケる、ガチ旨モルト!
一万円で買える(今は円安が進みすぎてちょっとオーバーするかも?)ウイスキーで、これを超えてくるものはなかなかいないんじゃないか!?と思っています。
ちょっと真面目に「レッドブレスト ルスタウエディション」について説明していきます。知識はお酒の最高のおつまみになるので、是非読んでいただけると嬉しいです。
「レッドブレスト」は、もともとギルビージンで知られるギルビー社が1939年に創案したブランドで、当時はダブリンのボウストリート蒸留所でつくられていました。現在はフランスのペルノリカール社のブランドの一つとして、新ミドルトン蒸留所でつくられています。
新ミドルトン蒸留所は、かつて世界最大のポットスチルが稼働していたことでも知られるミドルトン蒸留所の背後に1975年に建てられた蒸留所で、レッドブレストのほか、ジェムソンやパワーズ、そしてコークを代表するパディもここで生産されています。
このアイリッシュウイスキー「レッドブレスト」の最大の特徴は、アイルランドの伝統的なポットスチルウイスキーであるということです。
ポットスチルウイスキーとは、大麦麦芽と未発芽大麦(それぞれ30%以上)を中心に、古くはカラス麦や小麦、ライ麦などを混合して、単式蒸留器で3回蒸留をしてつくられたウイスキーを指します。※レッドブレストは大麦麦芽と未発芽大麦のみを使用しています。
レッドブレストは単一の蒸留所でつくられているので、シングルポットスチルウイスキーと呼ばれています。エチケットにも、「SINGLE POT STILL」と書かれていますね。
ちなみに、エチケットに描かれているレッドブレストという胸の部分が赤い鳥は、ヨーロッパコマドリという鳥で、磔にされたイエス・キリストの頭のイバラの棘を抜いたと言い伝えられているそう。(その時に胸が赤くなったのか・・?)
この逸話から、この鳥は「聖職者の鳥」として大切にされており、牧師や神父の酒棚には必ずレッドブレストのボトルが飾られていると言われています。
日本市場で流通している定番のラインナップは12年、15年、21年。
12年は40度、15年と21年は46度と度数はやや高めに設定されています。
また、これらのラインナップのほか、「12年 カスクストレングス」や、今回紹介しているルスタウエディションも、比較的日本で入手しやすいです。
今回、力を入れて紹介するのが、「ルスタウエディション」です。ルスタウは、スペイン屈指のシェリーメーカー「エミリオ・ルスタウ社」を指しています。1896年に設立された同社は、世界の各コンクールで数々のメダルやトロフィーを受賞しており、受賞数世界一とも言われる超有名なシェリーメーカーなのです。
「レッドブレスト ルスタウエディション」は、伝統的なバーボン樽とシェリー樽に9~12年熟成させた後、へレスにあるルスタウのオロロソシェリーのシェリーバット(ファーストフィル)で1年後熟させたものです。
ちょっと固い説明が続きましたが、
①アイルランド伝統のポットスチルウイスキー
②有名なシェリーの樽で後熟させている
この2点が伝われば嬉しいです。
【テイスティングコメント】
□香り:アタックは柑橘系。アイリッシュの特徴と言われるグレープフルーツのワタより、ちょっとオレンジやレモン寄りな気がする。後から黒糖、キャラメル、ナツメヤシ、レーズン。爽やかなトロピカル要素(なんだそれ)あり。アフターはラムレーズン感満載。ラムの「エルドラド12年」を彷彿とさせる。
□味:アイリッシュ独特のオイリー感。香りとは裏腹に、オーキーなニュアンスも強い。グレープフルーツのワタ感も途中で挨拶してくる。良質なクリームシェリーのまろやかな甘みと、スパイス。複雑だけど取っつきやすい印象。
□総評:激旨。
繰り返します、激旨です!!
一般的なスコッチのシェリー樽熟成ものとは、系統が違うと思っています。前者のシェリー樽熟成スコッチって、シェリーそのものの味わいってあまり感じないじゃないですか。(もしかして私だけ・・?)レッドブレストの、特にこの「ルスタウエディション」は、シェリーそのものの甘み・味わいをしっかり感じられるのが好きですね。ストレートに下に飛び込んでくるゴリゴリ系の主張はなく、柔らかいシェリーの甘みが、ただただ優しく感じられます。
これと同じくらいの値段で、同じくらい美味しいよ!というウイスキーがあれば、気軽にコメントくださいー!
追記:「開けたて」より開栓して1~2カ月経過してからのほうが美味しく感じました。