今までずっとアイリッシュコーヒーを飲めるお店の記事ばかりをアップしてきましたが、おすすめのアイリッシュウイスキーを教えてほしいというリクエストをチラホラといただくことも増えてきたので、これからは定期的に、私一押しのお酒(※)を紹介していこうと思います(※アイリッシュウイスキー限定だとすぐにネタ切れになりそうなので、ハードリカー全ジャンル対象予定です!)

新コーナー、最初に紹介するのはやはりアイリッシュにすべき・・・だと思うので、記念すべき(?)第1回目はアイリッシュウイスキー「レッドブレスト ルスタウエディション」を紹介します。
このウイスキーはトロピカルでオイリーで、ちょっとスパイシーさもあり、多面的な表情を持つアイリッシュ。飲み進めるうちに、ラムレーズン感も強くなるのでデザートモルトとしてもイケる、ガチ旨モルト!
一万円で買える(今は円安が進みすぎてちょっとオーバーするかも?)ウイスキーで、これを超えてくるものはなかなかいないんじゃないか!?と思っています。

ちょっと真面目に「レッドブレスト ルスタウエディション」について説明していきます。知識はお酒の最高のおつまみになるので、是非読んでいただけると嬉しいです。
「レッドブレスト」は、もともとギルビージンで知られるギルビー社が、ダブリンのボウ・ストリート蒸留所(ジェムソンの本拠地)から仕入れた原酒を自社で熟成・瓶詰めして販売したブランドです。前身となる商品は1903年ごろから存在していたとされ、「レッドブレスト」の名称が公式に初めて確認されるのは1912年のこと。現在はペルノ・リカール傘下のアイリッシュ・ディスティラーズが所有・製造し、新ミドルトン蒸留所でつくられています。
新ミドルトン蒸留所は、かつて世界最大のポットスチルが稼働していたことでも知られるミドルトン蒸留所の背後に1975年に建てられた蒸留所で、レッドブレストのほか、ジェムソンやパワーズ、そしてコークを代表するパディもここで生産されています。

このアイリッシュウイスキー「レッドブレスト」の最大の特徴は、アイルランドの伝統的なポットスチルウイスキーであるということです。
ポットスチルウイスキーとは、大麦麦芽と未発芽大麦(それぞれ30%以上)を中心に、古くはカラス麦や小麦、ライ麦などを混合し、単式蒸留器で蒸留してつくられたウイスキーを指します。アイリッシュの伝統として3回蒸留されることが多いですが、蒸留回数そのものに規定はなく、2回蒸留も認められています。※レッドブレストは大麦麦芽と未発芽大麦のみを使用しています。
レッドブレストは単一の蒸留所でつくられているので、シングルポットスチルウイスキーと呼ばれています。エチケットにも、「SINGLE POT STILL」と書かれていますね。
シングルポットスチルウイスキーについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

奇跡のワンショット!
ちなみに、エチケットに描かれているレッドブレストという胸の部分が赤い鳥は、ヨーロッパコマドリという鳥で、磔にされたイエス・キリストの頭のイバラの棘を抜いたと言い伝えられているそう。(その時に胸が赤くなったのか・・?)
この鳥にまつわる伝説とは別に、レッドブレストには「The Priest’s Bottle(聖職者のボトル)」という愛称もあります。1920年代のアイルランドは政治的混乱と不景気のただ中にありましたが、そんな時代でも聖職者たちは比較的裕福な暮らしを送っており、上質なウイスキーであるレッドブレストが多くの教会の司祭館に置かれるようになったことから、この愛称がついたのだそうです。コマドリの伝説とはまた別の、なんとも人間味のある由来ですね。

日本市場で流通している定番のラインナップは12年、15年、21年。
12年は40度、15年と21年は46度と度数はやや高めに設定されています。
また、これらのラインナップのほか、「12年 カスクストレングス」や、今回紹介しているルスタウエディションも、比較的日本で入手しやすいです。

今回、力を入れて紹介するのが、「ルスタウエディション」です。ルスタウは、スペイン屈指のシェリーメーカー「エミリオ・ルスタウ社」を指しています。1896年に設立された同社は、世界の各コンクールで数々のメダルやトロフィーを受賞しており、屈指の実力を誇る超有名なシェリーメーカーなのです。
「レッドブレスト ルスタウエディション」は、伝統的なバーボン樽とシェリー樽に9~12年熟成させた後、へレスにあるルスタウのオロロソシェリーのシェリーバット(ファーストフィル)で1年後熟させたものです。

ちょっと固い説明が続きましたが、
①アイルランド伝統のポットスチルウイスキー
②有名なシェリーの樽で後熟させている
この2点が伝われば嬉しいです。
【テイスティングコメント】
□香り:アタックは柑橘系。アイリッシュの特徴とされるグレープフルーツのワタというより、ややオレンジやレモン寄りの印象。続いて黒糖、キャラメル、ナツメヤシ、レーズン。ほのかにトロピカルなニュアンスも感じられる。アフターはラムレーズン感が際立ち、わずかにラムの「エルドラド12年」を彷彿とさせる。
□味:アイリッシュ独特のオイリーな質感。香りの印象とは対照的に、オーキーなニュアンスも強い。グレープフルーツのワタのようなほろ苦さが顔を出し、良質なクリームシェリーのまろやかな甘みとスパイスが続く。複雑ながら、取っつきやすい味わい。
□総評:激旨。
繰り返します、激旨です!!
一般的なシェリー樽熟成のスコッチとは、少し系統が違うように感じています。短熟スコッチのシェリー樽熟成は、意外と「シェリーそのもの」を飲んでいる感覚にはならないことが多い気がするのですが……私だけでしょうか。
一方、レッドブレスト、とりわけこの「ルスタウ エディション」は、シェリー由来の甘みや風味が実に素直に伝わってきます。だからといって押しの強い”ゴリゴリ系”ではなく、シェリーの甘やかさがふんわりと寄り添うような印象。穏やかでやさしい余韻が続き、気づけばグラスが少しずつ空になっている、そんな一本です。
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